2002年1月24日 
      石渡鎌倉市長に日仏映画人のメッセージを
       届けるとともに 赤道の手入れを要望した
      







鎌倉市の三大緑地の一つ、台峯緑地を保全するため、なだいなださんが理事長を勤めるNPO法人「北鎌倉の景観を後世に伝える基金」は23日、緑地にある「赤道」と呼ばれる市道の整備の許可を求める要望書を石渡徳一市長に提出した。

映画の小津安二郎監督が愛した鎌倉の緑である同緑地保全に賛同するパリ市議会議員らの陳情書、松竹・大船撮影所で活躍した山田洋次監督の保全を求めるメッセージも渡した。

約29haの同緑地は、地権者が住宅開発を計画、枝打ちや下草刈りなど人の手が入らなくなって20-30年が過ぎ、里山としては荒廃する一方で、保全するためには一刻も早い手入れが必要だ。同基金の会員は同緑地を歩き、その実態を確認、地権者所有地の整備は困難でも、市道である赤道を自分達の手で整備することで、荒廃を止め、保全に役立てたいと要望した。

赤道は、約7750uと、緑地全体から見れば、わずかだが、なださんは「赤道を手始めに整備することで、地権者から荒れ果てた土地への手助けを求める声が自然に出てくればいい」と、保全の第一歩とする考えを話した。
神奈川新聞の記事

 鎌倉市の三大緑地の一つ、北鎌倉・台峯緑地(約28.8ha)の保全活動に取り組むナショナル・トラスト団体「北鎌倉の景観を後世に伝える基金」(なだいなだ理事長)は23日、映画監督の山田洋次さんから寄せられたみどり保全へのメッセージを石渡徳一市長に手渡した。                                     

 同基金によると、故小津安二郎さんのファンであるフランス・パリ市庁職員が昨年秋、小津映画でなじんだ鎌倉を訪れ、台峯緑地の保全運動に共感。この職員がフランス映画の関係者やパリ市会議員にも呼びかけ、「住宅地として開発される可能性があると聞いて心を痛めている」とする6人連名のメッセージを寄せた。           

 これを知った山田さんも「本来なら、小津監督の後輩である日本人の映画人こそ、積極的に取り組むべきだ」として、「鎌倉の緑よ永遠なれ、と大船撮影所で育った僕は願っております」とメッセージに記した。

 この日、なだ理事長が石渡市長にこれらの文書を手渡し、「台峯の緑を自然との付き合いを学ぶ教育的な資産としてとらえるなど、いろいろな角度から保全の検討をしてほしい」と要望。市長は「鎌倉市民だけの緑ではなく、世界の緑だと覚悟して取り組みたい」と述べた。

 同基金はまた、台峯緑地内の市道(通称・赤道)を市民の手で整備できるよう求める要望書を提出した。

 1998年11月に発足した同基金の積立金は1千万円を超えた。なだ理事長は「買取にはまだ不十分だが、保全に向けて何か役に立つ方法を考えたい」と話している。